2012年

4月

17日

ヘニング・クラッゲルー 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル

父の誕生日でもあった日、大好きなヴァイオリニストのコンサートに行ってきました。

ノルウェーのヘニング・クラッゲルーの無伴奏ヴァイオリン・リサイタルです。

「わぁ、すごーい!」という以外言葉が見つからないほどの演奏でした。

 

 

と き 2012年4月17日(火) 午後7時開演

ところ 武蔵野市民文化会館 小ホール

 

プログラム

   イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全6曲

       アンコール

      クラッゲルー:前奏曲 イ短調

 

彼のライブをきいたのはこれで2回目。

2008年3月、広島交響楽団と共演したクリスチャン・シンディングのヴァイオリン協奏曲。最初の一音で、「わあ〜」と心ときめき、夢中になって演奏をききました。その彼の演奏を再び聴けるとは!

 

武蔵野市にはオットも行ったことがなかったので、1週間ほど前から会場までのルートや電車の乗り換えを研究していました(オットが)。私はのんびり構えてて、「まあ同じ日本じゃし、行けるじゃろうて」と安心しきっていたのが運の尽き。当初乗る予定だった快速に乗らずにうっかり普通列車に乗ってしまったがために、予定の時間をオーバーしてしまいました。その点「今日は何が何でも定時に仕事を終わらせてやるー!」と強く決意して出勤したオットと会場前で18時40分頃に遭遇。「うちの方が遅かったんじゃとほほ」と少々悔しい思いをしましたが、開演には間に合ったしそれはそれで、ヘニングに会える〜と心ウキウキ、気持ちを切り替えて会場に入りました。

 

夜の葉桜
夜の葉桜
武蔵野市民文化会館
武蔵野市民文化会館

 

イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタのCDは以前買って聞いてはいました。でも、無伴奏は修行、苦行で、聞いているといつのまにか眠っているか、退屈になって止めてしまうかのどちらかでした。

しかし、今回、ヘニングの演奏を聞き、演奏の姿を見て、体全身でヴァイオリンの響きを感じて、全身の力が抜けていくように思いました。とくに、第5番の第1楽章は、宇宙が広がっていくよう。眉間のしわがなくなっちゃうほどリラックスしていました。

ヘニングの演奏するヴァイオリンの音は太く、太い音が時にかすれているかの音になったり、高音が電子音のように聞こえたり、ギターのように「ポロンポロン」と優しく弾いたり、ひとつひとつの音が意味があって、それらが連なってひとつの曲になる。プロだからよく言われる「超絶技巧」も当たり前に弾けるんだ、彼こそが本物のヴァイオリニストのひとりなんだ。しかも、私と同じ時代に生きている人。ヘニングの演奏はもちろんのこと、イザイの無伴奏はいい曲だなあと思いました。

 

幸い、事前にリサイタルのプログラムノートがPDFファイルで届きました。CDのライナーノーツの日本語訳ですが、英語の苦手な私には助かりました。事前に曲の解説を読んでおくと、当日の演奏の楽しみが増えますから。しかも、このライナーノーツは、贅沢なことにヘニングが書いたもの。日本の音楽評論家や学者が書いたものではありません。ヘニングのイザイについての捉え方というんでしょうか、接し方がよくわかります。音楽の理論はもちろん、作曲者や献呈したヴァイオリニストについても触れています。

 

リサイタル後のサイン会では、英語でいろいろ話したいのに何て言えばいいのか分からなくて、オット共々、お友達(と言っていいんでしょうか)大先輩のminhirさんに教わりました。minhirさんは快く「May I take a picture with you ?」「marvelous performance」 と教えてくださいました。落ち着いて考えると中学英語ですよね。舞い上がってたんです(←言い訳)。列の前後は皆落ち着いて待っているなか、4年ぶりの再会で興奮する私。minhirさんは家にあるヘニングのCDジャケットを全部持ってきて、サインしてもらってました。

 

で、私はというと、ベイビーフェイスのヘニングを間近で見て舞い上がり、せっかく教わった英語も言えませんでした。それでもヘニングは、「どうしたの?大丈夫ですよ」と言わんばかりの満面の笑み。くたくたなはずなのに、リサイタル終了後すぐに会場に着てくれたし、本当にもう、なんていい人なんでしょう!後ろにも20人ほど並んでいるのに、言葉が出ない。

そこで、「3、4年前、広島交響楽団とのコンサートに行きました。今日は2回目のコンサートです。実は、ノルディックサウンド広島の津田さんと知り合いで(知り合いって英語では分からなかったので、つい友達と言いました)・・・」と言ったら「おお!ミスターツダ!」と彼の目が大きくなりました。それで、「先ほどたくさんサインしたCDの持ち主も、彼(オット)も津田さんと友達です」と言うと、「私たちは皆友達だ」的な雰囲気になりました。持ってきたCDとバックにサインをしてもらい、ヘニングと後ろの人に遠慮しつつ「一緒に写真を撮ってもらってもいいですか?」とお願いしたら、「もちろん!」と私の肩をガッツリ抱いてきたので、もう有頂天。ヘニングとのツーショットを撮ってもらって大満足。後ろの方に丁重にお詫びをいいながら(どうやら仕方ないわね的笑顔だったよう)minhirさんとともに会場を後にしました。

 

本物のプロの演奏家って、とてもフレンドリーで謙虚で優しいんですね。

 

 

(注)同い年
(注)同い年

 

☆余談☆

ヘニング・クラッゲルーはノルウェー語でHenning Kraggerudと書きます。

広島交響楽団の定期演奏会やこれまでリリースされたCDでは「ヘンニング・クラッゲルード」としていました。

しかし、(公財)武蔵野文化事業団は「ヘニング・クラッゲルー」。なんでだろう?

 

ノルディックサウンド広島の津田さんによると、プライベートでは「ヘニング・クラッゲルー」、公的な場面では「ヘニング・クラッゲルー」と、ヘニング本人が言っているとのこと(ちなみに、英語ではヘニング、ノルウェー語ではヘンニング)。

次回からは「ヘンニング・クラッゲルード」と案内していただければ幸いでございます。(今日の日記にでは、演奏会での表記に従い「ヘニング・クラッゲルー」に統一しました)

 

  イザイ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 Op.27-2

     第1楽章 http://imgartists.com/artist/henning_kraggerud ←画面左下の「AUDIO」で聞けます。

 

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コメント: 8
  • #1

    minhir (木曜日, 19 4月 2012 17:30)

    素晴らしかったですねえ~ ノルウェー語のサイトで音声確認したところ、最後の"d"はしっかり発音していました。ううむ。

  • #2

    HAL (金曜日, 20 4月 2012 01:14)

    私も無伴奏ヴァイオリン音楽は苦手です。故に、どうしても足が向きませんでした。10年以上前ですが、ウィーンで聴いた、ミンツとヴェンゲロフが交代で弾いたバッハも耐えて耐えて聴いたものでした。w

    でも、クラッゲルードだったら、全く違った印象が持てたかも知れませんね。

    そういえば、彼、オルフェウス室内管弦楽団と共演した事があって、その演奏をオルフェウスのサイトで聴けます。ベートーベンの協奏曲です。
    http://www.orpheusnyc.com/listen.html
    75分頃から始まります。

  • #3

    akkey (金曜日, 20 4月 2012 09:51)

    >minhirさん
    先日はご一緒させていただき、ありがとうございました。同じ関東にいるにも関わらず、minhirさんとはずっとネット交信だけでした。
    クラッゲルードのリサイタルですが、今回も素晴らしかった、このひと言に尽きますね。幸せな時間でした。(正直、サイン会の後、「いま死んでも後悔せん」と思ったのはここだけの秘密)
    ところで、名前の話。"d"は発音されていたんですね。これからは自信をもって「クラッゲルード」と発音できますね。
    またご一緒できますように。(例のチェルシーマーケットで四者会談などw)

  • #4

    akkey (金曜日, 20 4月 2012 10:13)

    >HALさん
    コメントをありがとうございます。
    HALさんも無伴奏ヴァイオリン音楽が苦手だとは意外でした。奏者が交代で演奏すると変化が起きそうですが、それでも耐え難ったんですね。
    クラッゲルードは、1楽章、1曲ごとに「間」があったように感じました。楽譜のめくり方、曲を弾き終えたときの弓の所作、姿勢・・・不必要な力は抜き、演奏するときの集中力はがつがつしておらず、やや感じる程度。(この”やや”というのが絶妙なんですよね)ブログラムノートに記載した世界、イザイの無伴奏ソナタの魅力を一緒に分かち合えた気分です。

    ご紹介のオルフェウス室内管弦楽団との演奏は、今朝1回聞きました。(また聞かなきゃ)
    ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。これも私には苦行で、眠るどころか、全然つまんなくて途中でCDを止めていました。しかし、彼の演奏、とくに第1楽章のカデンツァは、このまま永遠に続いてほしい、終わってほしくない、という演奏で泣きました。気難しそうなベートーヴェンも微笑んでいるかのよう。(ところで、このカデンツァはクラッゲルード作、それとも有名なヨアヒム、アウアー、フリッツ・クライスラーによるものでしょうか?)

    いつもいつも、貴重な音源や資料を教えてくださってありがとうございます。
    クラッゲルードのすぐ下のスーザン・グラハム(Susan Graham)も聞いてみます。

  • #5

    adu (月曜日, 23 4月 2012 07:38)

    いつも素敵な演奏の紹介ありがとうございます。
    イザイの無伴奏は好きな曲でしたが、クラッゲルードの演奏はなんて透き通った音楽になるんでしょうか…。CD買います、絶対買います。
    それにしても哲子さんの広島弁可愛いですね。私の彼が広島出身なので尚のこと親しみ湧きます(笑)
    これからもよろしくお願いします!

  • #6

    akkey (月曜日, 23 4月 2012 19:09)

    >aduさん
    ようこそ!こちらでは、初めまして、ですよね。コメントをありがとうございました。
    イザイの無伴奏をお好きなaduさん、きっとクラッゲルードの演奏は気に入っていただけると思います。音楽を聞いて、ほんとに幸せになるんです。彼の音楽を聞いていると、心から生きててよかったーって思えるんです。ぜひCDをお聞きになってください。そして、感想を語り合いましょう。
    (広島弁が可愛いってほんまに〜!こわ〜と言われんでよかった♪)

  • #7

    HAL (金曜日, 27 4月 2012 00:16)

    お尋ねのカデンツァですが、クライスラー作でもヨアヒム作でもなく、これはクラッゲルードのオリジナル作だと解説者が語ってますね。確かに、初めて聴いたカデンツァです。

    それと、このコンサート、本来はジャニー・ヤンセンの予定が、彼女の病気によりキャンセルになり、ほんの数日前にクラッゲルードが代役として登場したのだそうです。

    演奏終了後の観客の熱狂が当然と思える、アヴァンギャルドな演奏だと思います。オルフェウスCOとの相性も良い感じです。コレが縁で、オルフェウスがノルウェーに巡演してクラッゲルードと共演し、Simaxが両者の演奏を世に送り出す。演目にはバーバーを必ず加える。是非、そうして欲しいと切に願います。不可能でしょうが。w

  • #8

    akkey (日曜日, 29 4月 2012 13:36)

    >HALさん
    カデンツァの件、ありがとうございました。クラッゲルードのオリジナルだったんですね!
    第1楽章を改めて通して聞いてみました。アヴァンギャルドといえども、自然に聴けるんですよね。カデンツァの始まりは確かに新しい和音、曲の調とは少し違うように感じました。でも、これからどんな展開になるんだろうとワクワクしながらも、落ち着いて、音楽をじーっと聴きました。第1楽章が終わって、お客さんが感動を伝えたくて思わず拍手をしたのもうなずけます。

    きっと、この曲も彼のレパートリーのひとつでしょう。とはいえ、数日前に代役として出演が決まってコンサートに登場してこの素晴らしい演奏。お客さんがうらやましいです。

    オルフェウス&クラッゲルードの録音、ぜひぜひ実現してもらえれば最高ですね♪バーバーも聴きたい。夢で終わらず、いつか実現しますように。

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